2021年11月20日土曜日

聚散十春


 おじいさんは二匹の猫を大切にしていた。

茶虎の子と、黒猫の子と。

黒猫が居ないので尋ねると、海に落ちて死んでしまったと。

潮に流されているのを網ですくったが駄目だったと。

この界隈の猫たちもほとんど絶えてしまったと。

ここに来れば、そこち行けば居て当然だと思っていた小さな命たち

時が押し流してゆく命たちは多いのだと、思い知る。