2022年2月5日土曜日

ぶぅちゃんのお話



 






ぶぅちゃんがいつ頃からここにいるのか私は知らない。

ボンヤリとした私の記憶では出会った頃はもっと痩せていた気がする。

ぶぅちゃんはレディだからちょっとネーミングが失礼かなとも思うのだけれど、実際私が勝手にそう呼んでいるだけだし「親愛」の情を込めてあえてそんな風に呼んでいる。

今日はぶうちゃん見ないなぁなんて思って歩いていると、地獄耳のぶぅちゃんは足音をちゃんと察知してだみ声を発しながらいつの間にか現れる。

その声や、そのなんとも太ましい姿を見るとホッとする、昨日行きて出会えたとしても今日出会えるかなんて何の保証もないのだから。

ぶぅちゃんのお腹は底なしで、いっぱい食べる。

食べても数分としないうちに食ったことを忘れたんじゃないか?ってくらいに、また食べ物をねだって足元に絡んでくる。

食べること、即ち生きること。

明日は食いっぱぐれるかもしれないのだから食える時には思いっきり食っておく。

それがぶぅちゃんのみならず厳しい環境を生きる野良の流儀だろう。

ぶぅちゃん、また会おうね

別れ際は必ずそう挨拶して家路につく。